『5.5組に1組が受けている“不妊治療”の問題点』
信州大学特任准教授の山口真由さんが“不妊治療”の問題点について述べた記事がありますので、以下、転記によりご紹介します。
◆高額で女性負担大の不妊治療
不妊治療の経済的負担を軽減するため、厚生労働省は既存の助成金制度を2021年4月から拡充する方向で調整に入りました。9月末に関連費用を概算要求し、来年度予算の編成過程で詳細を決めます。菅首相が打ち出した保険適用の拡大は、2022年度の診療報酬改定に合わせて実施する案が浮上しています。
山口さんが不妊治療の問題点としてまず挙げたのは、高額な費用。不妊治療業界の立場からすると、患者には最先端医療を受けてほしいものの、保険適用とそうでないものが混ざると全て自費になってしまうため、助成金を望んでいるそうですが、「それはやや詭弁」と厳しい意見を放ちます。
そして、「不妊治療業界は不妊という人の絶えざる悩みにかこつけ、高額を取るシステム」と指摘し、「自由競争と言いながら全然安くならない」と主張。それだけに「保険適用となると審査がある。他の機関の目を入れ、きちんと議論できるようにしたほうがいい」と希求します。
また、不妊治療は、採卵のため1週間空けておかなければいけなかったり、何かあればすぐにクリニックに駆けつけなければいけなかったり、特に女性側にかかる負担が大きいという一面も。山口さん自身、不妊治療のために自ら出世コースから外れる優秀な女性を数多く見てきたそうで、「もっと自由化するべき」、「ハードルを下げるべき」と訴えます。
なお、山口さん曰く、不妊治療の鍵となるのは卵子で「年齢に伴う卵子の質の低下が不妊に大きく関わってくる」とか。そして、日本の不妊治療の成功率が上がらない理由の1つに「40歳を過ぎても自分の卵子で(受精を)やり続けるから」と言い、場合によっては卵子提供も考えるべきと言います。さらには、若いうちに卵子を凍結しておくことで、その年齢の出産率を維持できるため「卵子凍結も保険適用にしてもっと安くできないか」と提案します。
◆不妊治療が少子化問題解決の一助に!?
現在、不妊治療を行うカップルは多く、その数は5.5組に1組。とはいえ人口的には対象者が減っており、不妊治療業界は利益を守ろうという意識が強いため「既得権益にメスを入れてほしい」と強く望む山口さん。
さらに、現状では助成を受けられる年齢と所得制限があること、治療費が高額であるにも関わらず待ち時間が異常に長いことなどの改善も求めていました。 キャスターの宮瀬茉祐子は、都心に比べ地方にはクリニックが少ないなど不妊治療における「格差」が気になるよう。また、今は少ないものの海外からの患者も多く、ビジネスとしての不妊治療が進んでいることに対し、「みんなが平等に受けられる仕組みが必要」と牽制します。
スローニュース代表取締役の瀬尾傑さんは、日本の喫緊の課題である少子化に対し、「子どもを産むことを強いるのではなく、選択肢を増やしたり、育てやすい環境を作ること」としながら、「不妊治療の補助」もその1つだと言います。そして、その他にも里親制度や夫婦別姓など、あらゆる観点から「政策を見直すべき」と主張。菅首相による新体制となっただけに、「菅首相は、いい意味で考えがない。それが良い方向に、目的さえはっきりすれば手段を選ばないということであれば、そういったことができる可能性がある」と言い、「ぜひ少子化に取り組んでほしい」と期待していました。
【引用】
「5.5組に1組が受けている“不妊治療”の問題点」
TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。
9月22日(火・祝)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナー,2020年10月4日 20:04
https://news.yahoo.co.jp/articles/3abb5a0e11e0152a1c1794d9aad15feac7bf1643