『R8.5月の日記』
5/1 SNSを介した精子提供が急増しており、シングルファザーや会社員など様々な男性が無償ドナーとして活動しています。提供方法は性行為を伴う「タイミング法」が半数以上を占めるなど、医療機関を介さない個人間取引ならではの生々しい実態と、高まる需要の背景が浮き彫りになっています。私自身も提供を行っていますが、本来の目的はあくまで「家族を持ちたい」という切実な願いへの支援であるべきです。SNSでの活動実態には驚かされますが、性行為を前提としたり、SNSでの誇大広告のような手法が目立つ現状は、安全面や倫理面で大きな危うさを感じます。ドナーと受取側の双方が、命を授かることの重みを再確認し、誠実な関係性の中で活動が行われることを切に願います。【参考】『SNSで大流行「精子提供」の現実【前編】半数は実際に性行為、ドナーが語る「現在3人が妊娠中」』
5/2 国は2026年度から未婚女性の卵子凍結に最大20万円を補助しますが、対象を35歳までに制限する方針です。「35歳まで」という明確な線引きには、医学的な妊娠率の壁を感じて少し複雑な気持ちになりますが、一番ベストなタイミングで新しい命を迎えるための前向きな選択肢として機能してほしいなと思います。
5/3 子どもを持たない選択をした夫婦を描くヒューマンドラマ『DINKsのトツキトオカ 「産まない女」はダメですか?』 を通じ、産むのが当たり前という空気が、どれほど人を追い詰めるかと考えさせられます。私たちは命を望む人のために精子を提供しますが、それはあくまで産みたいという本人の強い意志があってこそです。全ての命が、義務や妥協ではなく、心からの合意と喜びの中で迎えられる社会であってほしいと切に願います。
5/4 日本の15歳未満の子どもは1329万人と45年連続で減少し、人口比も10.8%で過去最低を更新しました。この数字を目の当たりにすると、自分の活動は大海の一滴に過ぎないのだと痛感します。
5/5 精子・卵子提供や人工子宮により、誰もが子を持てる架空の制度を描く漫画『egg わたし、あなたの子どもです。』(鳥野しの/KADOKAWA)では、提供者と子供の関係、親の資格や人間同士の繋がりの在り方、現実社会の課題が問い直されています。私もいつか、自分の知らない場所で育った子と対面する日が来るかもしれませんが、技術が命を便利にするほど、その裏にある感情のケアが大切になる気がします。
5/6 私が精子を提供するのは、あくまで「誰かの幸せ」の選択肢を増やすためだと考えていました。しかし、よく振り返ってみると、それは自分を育てるために愛情を注いでくれた母親への「恩返し」や「報い」として、ドナーを志した側面があったのかもしれません。【参考】『親のために子どもを授かりたい。娘が負い目を感じて卵子提供にすがるのは是か非か』
5/7 53歳のキャメロン・ディアス夫妻に、第3子となる次男が誕生しました。長年の不妊治療を経て届けられたこの幸せな報告は、たとえ代理出産の可能性があるとしても、40代で不妊治療に励む女性たちに大きな勇気と希望を与えています。
5/8 自民党のPTは、医療機関のみに身元を明かす「内密出産」への財政支援や相談体制の整備を政府に提言する方針です。慈恵病院のような現場の献身に国がようやく向き合い始めたことを、心強く感じます。
5/9 国立成育医療研究センターの研究チームは、精子形成を阻む有害なウイルス遺伝子の活動を抑える仕組みが、生後3カ月から2歳頃に確立することを解明しました。乳幼児期の段階ですでに、将来「父」となるための重要な準備が始まっていることに、生命の神秘と驚きを感じます。男性不妊の原因究明や治療法の開発への貢献が期待されます。
5/10 こども家庭庁は18~35歳の未婚女性を対象に、データ収集を目的とした卵子凍結の費用助成モデル事業を開始します。女性側の年齢制限は医学的に妥当だと思いますが、凍結卵子の利用率が10%程度と低いのは少しもったいない気がします。また、凍結するだけでなく、その後のパートナーシップやライフプランへの支援もセットで進むことを期待します。
5/11 先日、正期産の方にお会いしましたが、妊娠期間中にお母さんがどれほど多くの制約や不安を抱えながら、お腹の子を守っているのかを改めて実感しました。妊娠中は食事や睡眠、適度な運動を整え、葉酸や鉄分などの栄養を摂ることが推奨されます。一方、飲酒や喫煙、過剰なカフェイン、薬の自己判断での服用は避け、周囲のサポートを得て前向きに過ごすことが大切です。
5/12 大阪府泉佐野市は2026年度中の「赤ちゃんポスト」開始を目指し、受け入れ対象を原則「出生後1か月未満の新生児」とする事業計画書案を府に提出しました。相談室の新設や児童相談所との連携も盛り込まれています。生まれてくる命を救う仕組みは大切ですが、出自を知る権利やその後の人生へのケアもそれと同じくらい重要です。精子ドナーとして、子供たちが将来、自分がどこから来たのかを肯定的に受け止められる温かい支援を心がけたいと思います。
5/13 YouTuberのてんちむさんが、日本は母親への負担や世間の目が厳しすぎると指摘し、行政や常識をアップデートすべきだと主張してます。賛否両論の声がありますが、「孤育て」にならず、シッターや周囲の力を当たり前に借りられる寛容な環境にならなければ、子供を望む人は増えないと感じます。
5/14 44歳で第2子を出産した米モデルのシエナ・ミラーさんが、寝不足ながらも愛に満ちた現状を報告されました。13歳の長女とは年の差育児となりますが、40代での出産・育児は人生が落ち着いている分、20代の頃より精神的に楽だと語られています。年齢による体力の衰えは、豊富な経験値でカバーすることが可能ということでしょうか。
5/15 タレントの向井亜紀さんが、代理母出産で授かった双子の現在を報告し、多様な家族の形を公に伝え、歩んできた23年を振り返られています。最高裁での不受理や特別養子縁組を経て、22歳になった息子たちは現在米国で芸術を学んでいるそうです。「お腹を痛めていなくても、子どもはかけがえのない存在」という言葉に深く共感するとともに、向井さんが歩んだ険しい道が、今の多様な家族観の礎になっているのだと感じます。
5/16 米スタートアップが幹細胞から生殖機能を持つ精子の育成に成功しました。実験用の胚生成にも成功しており、男性不妊症の画期的な治療法として期待されていますが、今後は外部機関による審査や安全性の検証が注目されます。不妊に悩む男性にとって自分の遺伝子を継ぐ子を諦めなくてよくなる、本当に素晴らしい救いの技術です。これが確立されれば、私のような第三者のドナーの必要性が少し減るかもしれません。
5/17 国内で、不妊治療として提供精子が必要とされている中、精子提供について日本産科婦人科学会が言及しています。無精子症治療における提供精子の確保が課題となる中、日本産科婦人科学会が国内の法整備や安全な提供体制の確立を提言したことは大きな意義があります。【参考】『日本差婦人科学会研修ノート(2)精子提供』