『R2.11月の日記』

11/1 今日は、大阪都構想の是非を問う住民投票が投開票される日です。「高く平等な住民サービス」と「政令指定都市の権限と財源」の維持が争点になりそうです。ちなみに、京都市は特別自治市を目指していますが、大阪府(大阪市)が廃止となると、府は京都府だけになります。

11/2 大阪都構想が反対多数で否決されました。大阪市民は「都」より「市」を選んだことになります。とはいえ、賛否ほぼ同数であり、これから賛成と反対の間に答えが生まれていけばよいと思います。結果は結果として受け留め、これまで重ねられた議論やプロセスを大切にしたいものです。

11/3 人工授精用に精子提供させていただいた方から、「(精液検査の)結果が良すぎて、(産婦人科の)先生に褒められたました。」とのご連絡がありました。精液検査結果のデータをお送りいただけることもありますが、毎回、精子品質は、WHO(世界保健機関)が発表した、一般成人男性の精液検査のデータ(平均値)を大幅に上回っています。

11/4 妊活=忍耐なのかもしれません。いつもと違った徴候があれば、期待してしまいますが、その分、妊娠していないことが分かると、ショックも大きいものです。でも、落ち込んでもいられないので、現実を受け止めて、努力していくしかありません。けれど、やるべきことをやっていけば、きっと可愛い赤ちゃんを授かれると信じています。 明けない夜はなく、明日があります!

11/5 結果が分かる瞬間は、毎回、特別な時間ですが、たとえ結果がどうであれ、 妊活のすべてが大切な時間だと考えています。妊活を通して、人として強くやさしくなれる方もいらっしゃいます。夫婦の絆を再認識される方もいらっしゃいます。ものは捉えようです。 

11/6 不妊専門施設での検査が正常でも、現代の医療では 何も異常が見つからないことも実は多く、原因不明不妊が1/3を占めるとも言われています。 複数回の精子提供にトライしても、ご妊娠に至らない場合は、「ピックアップ障害」(詳細:http://hari-pro.com/aih/)というものが考えられます。ピックアップ障害については、体外受精や顕微授精しか妊娠に至る術はなく、費用もかかりますが、複数回の精子提供のことを考えるとトータルではお身体や精神的な負担は少ないとも考えられます。

11/7 精子提供日でした。街はクリスマスのイルミネーションで賑わい始めますが、年末年始に向けて嬉しいプレゼントができるよう、精子ドナーとしての責務を全うしてまいりたいと思います。

11/8 ご出産のご報告をいただきました。元気な女の子をお授かりになり誠におめでとうございます。複数回の体外受精で妊娠されなかった場合でも、精子提供のシリンジ法ですぐに妊娠されることもあります。

11/9 精子提供日でした。仕事帰りに往復3時間、帰宅すると22時過ぎということもあり、移動時間をいかに有効活用できるかが大事です。今日は電車での移動中に、AIDに関する論文(AIDにおける「出自を知る権利」)を読みました。精子ドナーとして、責任ある行動と面談の際に役立つ情報収集は欠かせません。

11/10 不妊治療専門クリニックでは、オンライン診療が実施されており、今後の方針等について相談ができるようです。情報セキュリティが課題ですが、精子提供サイトでも同様にオンライン面談のシステムが導入される日が近いかもしれません。

11/11 先日、You Tubeで以前から関東で精子ドナーとして活動しておられた「和人さん」が、顔を出して番組に登場する動画が配信されています。一時期、ご家族から反対されて、精子提供のボランティアは休止されていましたが、昨今、ご依頼がまた増えてきたようで、活動を再開されたようです。また、他のネットでも、精子バンクのニーズが日本国内でも高まっているという番組が取り上げられています。顔が似ているということから、西洋ではなく台湾の精子提供を希望する日本人が多いとのことです。

11/12 精子提供により子供を授かることは親の「エゴ」ではありません。子どもが決して根無し草感を感じてしまわないような、子どもを望まれる方が一度きりの人生を後悔なく生きられるような、誰もが生きやすい世の中にしていかなければなりません。精子ドナーとしても、育ての親に万一のことがあった場合は、経済的な支援ができるようになるべきだと考えています。

11/13 公明党が、不妊治療に毎回40万円を助成する案を示しました。支援対象となる夫婦の所得制限(730万円)も撤廃を主張しています。体外受精と顕微授精の件数を50万件/年と想定した場合、年間2000億円の予算が必要になります。社会福祉費が増加の一途をたどる中、財源をどこから捻出するかが争点となりそうです。

11/14 精子提供ボランティアは、「誰か」を助けたいという心情と、「何か」を残したいという感情で成り立っています。活動の理由が、遺伝子を残したいといった「何か」になっている場合、温もりがなく淡泊な対応となりますが、悩んでいる人を救いたいといった「誰か」になっている場合、相手に寄り添った対応となり、心を前向きに動かしさえします。両者のバランスや両立が大事ですが、精子ドナーとして経験を重ねるほど、感情より心情のウエイトが大きくなると考えています。

11/15 精子提供日でした。人工授精だったため、医師から精液検査結果について褒められたそうです。精子ドナーとして、妊娠の確率UPに貢献できていることは嬉しい限りですが、精子の所見が良いことは必須条件ですので、少しホッとする気持ちもあります。

11/16 平野ノラさんが42歳で妊娠され祝福の声が寄せられています。「とりあえず1年頑張ってみよう」と不妊治療をすることなく温活を中心に励んだ妊活ということもあり反響が大きいようです。

11/17 精子提供や卵子提供により生まれた子どもの親子関係を定める法案が国会に提出されました。この民法特例法案では、「夫の同意を得た上で第三者から精子の提供を受けて生まれた子どもは、夫を父親とする」としています。精子ドナーとしては、「夫の同意の有無」についてより厳格に確認していくことが求められると考えています。

11/18 2020年11月、日本人タレントのサユリさん(41歳)が、1人で母親になることを選び、日本の精子バンクで精子の提供を受け、男児を出産されました。昨年10月に産婦人科で卵巣年齢が48歳であるという診断を受け、早いうちに出産することを決意されました。しかし焦って結婚するわけにはいかないという考えから、自ら未婚の母(選択的シングルマザー)になることを選ばれました。最近、精子提供や卵子提供に関するニュースが増えていますが、この数年間で多様な選択が当たり前の世の中になってきていると実感しています。そして、近い将来、精子提供を受けこと自体が話題にもならない日が来ることを願いたいと思います。

11/19 2020年9月、女優の小松みゆきさんが、49歳での妊娠を発表されました。発表時点では5カ月半ばの安定期に入ったところとのことでしたので、間もなく出産を迎えられると思います。ただ今回の妊娠が自然なものではなく不妊治療の結果であることをあえて主張されています。49歳で妊娠されましたが、顕微授精による受精卵で45歳の頃に凍結しておかれたもので、2013年夏ごろから体外受精、胚移植など不妊治療を開始され、妊娠するまで7年かかり、その間、顕微授精を14回以上受けて、かかった費用は1000万円ほどになったそうです。「39歳まで結婚しないでいた時点で子供を持つことは諦めていた部分が大きい」、「でも可能性があるなら出来ることはしておきたいと悪あがき」とある程度は割り切りながらも諦めずに挑む40代での妊活の様子を事細かに報告されていますが、ようやく念願かなっての妊娠ですので、どうか元気な赤ちゃんをお授かりになることを心からお祈りしたいと思います。

11/20 女優のミーナ・スヴァーリさんが41歳で第1子を妊娠されました。念願の妊娠に何もかもが美しく特別に感じられるそうです。毎朝基礎体温を測って、排卵検査薬を使っていた時には妊娠に至らず、計算するのは止めて、あきらめようと思った矢先に妊娠されたようなので、考えすぎによるストレスが要因だったのかもしれません。

11/21 精子提供日でした。数日前からコンディションを整えることができていたため、精液量はWHOの精液検査基準値の10倍程ありました。持ち運びに3時間程かかられるそうですが、多少、精子の運動率が低下したとても、タイミングさえ合えば、受精する可能性は十分にあります。

11/22 面談日でした。いい夫婦の日ということもあり、婚姻届を提出されたカップルも多かったと思います。渋谷区では、令和元年11月22日に、スマホでできる精子セルフチェック『Seem(シーム)』、自宅でできる卵巣年齢チェックキット『F check(エフチェック)』を無償で配布されており、官民連携して最新テクノロジーを活用した妊活の啓発を進められています。

11/23 精子提供日でした。この活動や妊活、仕事もそうですが、一人でできることはほんの僅かなので、人は力を合わせて頑張らなければならないのだと思います。人のためにすることは、巡り巡って自分のためにもなると信じています。妊活で困っている人やご妊娠された人がいれば、能力のある人やこれまでその人に助けられた人が、その人を支えそして守らなければならないと考えています。

11/24 精子提供日でした。4日間で3名の方に5回のご提供を行いましたが、精液量も毎回WHOの精液検査基準値の2~3倍あり、集中しての精子提供も支障ないことが分かりました。

11/25 海外にある世界最大の精子バンク「クリオス・インターナショナル」から精子の提供を受けた日本国内の利用者が、150人を超えたそうです。利用者は夫が無精子症の女性や、子どもを持ちたい独身女性、LGBTのカップルで、居住地は30都道府県に及ぶとのことです。欧米では多くの独身女性や性的少数者が精子バンクを利用しており、多様な家族の形が認められているそうですが、凍結精子を販売する構想も進められており、民間企業が不妊に悩む夫婦らのニーズに応じる時代になってきています。ただ、精子の販売・購入という営利目的であることに違和感を覚えました。

11/26 今月16日、精子提供により生まれた子どもの親子関係を明確にする法案が参院に提出しました。法案のポイントは、①女性が、自分以外の女性から卵子の提供を受け、子を妊娠・出産した場合は、出産した女性を子の「母」とすること。②妻が夫以外の精子の提供を受けて出産することについて、夫が同意した場合、夫はその子が嫡出(夫婦の子)であることを否認できないこと。の2点ですが、これらを法制化することで、子が誰の子かという問題への答えと生殖補助医療へのお墨付きを与えることができると言えます。

11/27 近所の家にクリスマスのイルミネーションが飾り付けられました。軒下にベンチがあり、そこに子供が座ると、家主さんが出て来てられ、お菓子をプレゼントされます。流石にサンタクロースの格好ではありませんが、いつでも、すぐに、何度でも、そして笑顔で対応されます。多くの人に幸せを届けるという点で、精子ドナーとしても、見習うべきところが大いにあります。

11/28 より良質な精子をつくるには、基礎体力を向上させる必要があると考えています。来週の精子提供に備えて、往復20kmの丘陵のサイクリングに行ってきました。適度な運動の前後に栄養価の高い食事も必要なため、ランチはシーフード、ディナーはステーキをいただきました。ちなみに、良質なタンパク質を摂るには、脂質の少ない鶏肉ばかり食べるより、脂質はあっても牛肉、豚肉、鶏肉、魚介類などたくさんの種類のお肉を食べた方が良いそうです。

11/29 11/25の日記で、世界最大の精子バンク「クリオス・インターナショナル」のことを少しご紹介しましたが、日本人の精子ドナーはまだ登録されていないようです。日本産科婦人科学会は会告で、営利目的で精子を提供する行為への関与を会員医師に禁じているため、クリオス社を含めた海外の精子バンクが国内で活動するには、多くの障壁があります。子を望むレズビアンカップル等の方々の選択肢を増やすためにも、出自を知る権利やドナーの処遇を含めた親子関係の法整備が急務といえます。

11/30 11/18の日記でもご紹介した日本人タレントのサユリ(藤田小百合)さんが自発的にシングルマザーなった理由を詳細に打ち明けられました。41歳の時に生理が来ないことがあり、産婦人科に行ったところ子宮年齢が既に48歳で、すぐに生理が終わると言われたことが理由だそうです。初めは、精子提供を受けて未婚出産し、自発的シングルマザーになることに葛藤もあられたようですが、出産後は、「これが夢だったらどうしようかと、寝るのが怖くなるほど、本当にとても幸せだ。」と語っていらっしゃいます。精子ドナーのことを“ギフト(プレゼント)さん”と呼ぶことにしているそうで微笑ましい限りです。だからこそ、優しく素敵な人でなければならないと再認識しました。