『R3.12月の日記』

12/1 精子提供の依頼先について、日本の医療機関の場合、無精子症の夫婦でなければ利用できないことや、血液型以外の精子ドナーの情報が明かされないことがネックであり、海外の精子バンクの場合、「出自を知る権利」が担保されているが、日本人夫婦の間に外国人の遺伝子を持った子供が生まれてくることに葛藤があるようです。精子提供ボランティア「未来かなえ」は、その間を埋めており、そうした悩みを解決することができる活動だと位置付けています。

12/2 精子提供を検討されている方は、子供を持つことを、より本質的に捉え、誰よりも親になることを真剣に考えてられていると感じています。現代の世の中を見渡した時に、親にとっても子供にとっても、血縁上の関係よりも、親に望まれて生まれてくるということの方が、親子の絆という観点では何より大事ではないでしょうか。

12/3 不妊治療に用いられる薬は多岐に渡りますが、未承認、もしくは適応外(別の用法では承認されている)のまま用いられているものが数多くあります。来年から不妊治療の保険適応が始まるにあたり、治療に用いられている薬剤の承認が早くできるように努力がなされているようです。詳しくはこちらのニュース不妊治療薬、承認手続き迅速化…保険適用へ排卵誘発剤やバイアグラなど候補に(YOMIURI ONLINEより)をご覧ください。

12/4 2021年11月に出産を発表した芸能人・有名人一覧が紹介されています。蛯原友里さんなど、同世代の方々からおめでたいニュースには勇気がわきます。

12/5 来年4月に始まる不妊治療の公的医療保険が適用されれば患者の自己負担は原則3割で済むことになります。ただし、年齢や回数を制限し、「妻の年齢が43歳未満」、「最大6回まで」という上限を設けるようです。

12/6 2017年10月に、『Webメディア「妊活ボイス」が行った「妊活・不妊治療」に関するインターネット調査』では、高度不妊治療(体外受精・顕微授精)にかかった費用は平均で約200万円という結果が出ています。病院を利用した人の2人に1人は「もっと早く病院に通えば良かった」と回答する一方、高度不妊治療の料金が高くて早期に治療に進めなかったことも明らかとなっており、不妊治療の保険適用で救われる方が多くいらっしゃると思います。

12/7 不妊リスク高めるものとして排卵が起こりにくくなる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がありますが、肥満体質は要注意と言われています。症状は月経周期が長いくらいなので、妊娠を希望する時期に病院で受診するまで気づかない方がほとんどですが、多嚢胞性卵巣症候群に悩む女性が目立ってきているようです。肥満の人は血中にインスリンが多く男性ホルモンが過剰になり、PCOSを発症しやすくなりますが、やせることでインスリンの状態を改善できます。このため、肥満体質の人はまずは運動で減量し、体重の5%を目安に落とすことが大事だそうです。詳しくは、こちら不妊リスク高める多嚢胞性卵巣症候群 肥満体質は注意をご覧ください。

12/8 子供がベビーモデルの一次審査に合格したとのご報告をいただきました。一次審査は写真による選考なので、ルックスはモデルレベルということが証明されたことになります。毎回、出産時の赤ちゃんの写真を送っていただいておりますが、みなさんとても可愛いお顔をされています。

12/9 卵巣に穴をあける手術を行うことにより、排卵率、妊娠率ともに向上する可能性が高くなります。ただし、人気の治療法のため、数か月待ちになることも多いようです。

12/10 体外受精させた受精卵の全染色体を調べる「着床前検査」について、日本産科婦人科学会は、流産や死産を繰り返した場合など三つのケースに対象を限定することで容認しました。来年4月頃から新たな運用が始まる見通しです。ただ、胚盤胞10~20個のうち正常卵はたったの1個ということも多く、政府は本気で母子や少子化対策のことを考えているのか疑問に思えます。また、厚労省ではなく婦人科医の利権を守る団体である日本産科婦人科学会が認めるというシステムにも、疑問を感じます。

12/11 経験上、筋肉質というか程よく引き締まった体形の女性が妊娠しやすいと感じていましたが、それを裏付ける医療コラム『妊活中の運動について』を見ました。理論上、「筋肉の増加」→「基礎代謝量の増加」→「血流の促進」→「卵巣に栄養が届く」→「子宮内膜が着床に適した状態に近づく」ということのようです。

12/12 過度の肥満は妊娠を阻害する要因として知られていますが、肥満と自然妊娠の関係を調べた論文があります。自然妊娠を希望する場合には、BMI「18.5~22.9」の範囲で体重を収めるのがよいようです。

12/13 提供の精子と卵子を用いた不妊治療は、2022年4月からの保険適用の対象外とする方向となりました。「子どもの出自を知る権利」が整理できていないことが主な課題のようですが、少子化を考え取り組むなら、赤ちゃんを望む全ての人の望みを叶え易くするために、生まれた子どもの「出自を知る権利」を担保できることを条件に保険適用とすべきだと思います。

12/14 年齢が高くなると卵子の質が低下することから、妊娠率はAMHより年齢の影響が大きいと言われています。詳しくは、こちらの『医療コラムをご覧ください。

12/15 40歳以下ではIVFが妊娠を期待できる方法とされていましたが、40歳以降ではIVF以外の方法(タイミング療法のような方法)と比較しても妊娠率にあまり差がないことが分かってきています。選択する年齢が若ければ若いほど、体外受精の効果が期待できるようです。詳しくは、こちらの『医療コラムをご覧ください。

12/16 妊娠を望みながら、1年経っても妊娠に至らない場合に不妊症と診断されますが、原因不明不妊の約70%の方は、排卵されてお腹の中に浮遊した卵子を卵管が取り込むことのできないピックアップ障害であることが分かってきており、腹腔鏡手術により、ピックアップ障害は一時的に解消することもできます。排卵を促し、排卵時期を的確に予測する高度な医療技術もあるため、1日も早く赤ちゃんが欲しい方は、経験の豊かな生殖医療専門医が勤務する医療機関を受診することをお勧めします。詳しくは、こちらの『医療コラムをご覧ください。

12/17 人工授精を何回目までトライする? ステップアップのタイミング』というコラムを見ました。人工授精を行ったの方の半数近くが初回で、4回目までに8割弱の方が妊娠していることが分かっており、ステップアップを検討されているのであれば、あまり長く人工授精を続けることに関してメリットは多くないようです。

12/18 1973年から2011年の間に精子の数は大きく減少し、このまま精子減少のスピードは止まることをなく、最悪の場合、あと40年でゼロになってしまう可能性があると紹介したニュース『止まらない精子減少の行方』もあります。一方で、マウスレベルでは、オスがいなくてもメスの幹細胞で精子がつくられ、妊娠・出産が成功している実験もあります。

12/19 『睡眠の質の悪化と妊娠に関係』について紹介したコラムを見ました。卵子の発育や妊娠に必要なホルモンは夜寝ている間に分泌されます。夜更かしや、不安定な睡眠を続けることで正常にホルモンが分泌されなくなり、妊娠しづらい状態になる可能性があります。睡眠中に分泌されるメラトニンというホルモンの抗酸化作用が卵子の質を保護していて、このメラトニンを放出させるためには、睡眠時に部屋を暗くすることが大切です。例えば睡眠時間をしっかり確保していても、部屋が明るいままだとメラトニンの放出を妨げる恐れがあるので、電気の消し忘れに注意が必要です。

12/20 排卵を促すhcg注射は病院で打つよりも自宅で自分で行う自己注射する方が痛みが少ないそうです。成分も同じなのに、病院の筋肉注射ではないためのようです。しかも、着床を助ける黄体ホルモンも含まれており、1本で排卵前と排卵後の2種類のhcg注射の効果があるそうです。痛みも通院の必要性もないことから、とても便利な注射です。今後は、不妊治療も在宅治療が進んでいくかもしれません。

12/21 男性用下着と精液検査の結果について紹介したコラムを見ました。男性ホルモンは脱毛の原因の一つになりますが、精子形成にはとても重要なホルモンです。男性型脱毛症の「フィナステリド」内服は、低用量でも精子数の減少を引き起こす可能性があり、フィナステリドを中止すると大多数の男性において精子数は劇的に改善されたと報告されています。

12/22 今日は日が暮れるのが1年でもっとも早い「冬至」でした。ますます寒くなるとは言え、日が長くなると思うとホッとします。精子は寒さに弱いと言われるので、持ち運び時の温度管理に注意していただければと思います。

12/23 2018年放送のNHKスペシャルニッポンの精子力クライシスの記事をあらためて見ました。長時間座り続けていることや、食生活の乱れが精子の減少や、運動率・質の低下につながることが紹介されています。生活習慣を改めることこそが精子力回復の第一歩だと言えそうです。

12/24 育毛剤と男性不妊についてというコラムを見ました。男性用下着を大まかに分類すると、ブリーフなどのタイトなものと、トランクスのようなゆったりしているものに分けられますが、身体にフィットする下着を履くと精巣が身体に接近することで精巣温度が上がり、精子形成に影響が出ると考えられています。この他にも、パソコンを膝の上に乗せて長時間作業をする、熱いお風呂やサウナ等にも、同じように精子形成に影響が出る可能性があるようです。

12/25 妊活中に必要なサプリメント〜葉酸〜について紹介したコラムを見ました。厚生労働省は妊娠の1カ月以上前から妊娠3ヶ月までの間、食事以外に400μg/日の葉酸をサプリメントで摂取することを推奨しています。葉酸は、神経管閉塞障害の発症リスク低減に有効でありますが、妊娠が判ってから摂取するようでは、重要な時期を十分にカバーできないため、妊娠前からの摂取が推奨されています。葉酸にはホウレンソウやブロッコリーなどの食材に含まれる天然葉酸と、サプリメントなどに含まれる合成葉酸の2種類があります。合成葉酸は天然葉酸に比べ、体内での吸収率が高く品質も安定していることから、摂取が容易なサプリメントでの葉酸摂取が推奨されています。

12/26 ビタミンDと不妊治療の関係性について紹介したコラムを見ました。近年では、ビタミンDが妊娠や不妊治療の結果にも関係があることが分かってきています。ビタミンDの血中濃度が十分に保たれている場合、臨床的妊娠率・出産率が有意に高いことをまとめた論文も発表されています。ビタミンDを増やすには、魚類(サケ、ウナギの蒲焼き、サンマ、ヒラメ、カレイetc.)、キノコ類(干し椎茸、キクラゲ)、卵黄の摂取や、日光に当たることが、効果的です。

12/27 風疹ワクチンの話というコラムを見ました。女性の生理周期に関しては、1971年に共同生活を送る女性学生の生理周期が似てくるという報告があります。一方で、2017年にアプリ会社とオックスフォード大学が行った共同調査では、女性の生理周期は重ならないと報告しています。生理周期が重なることについて科学的な証明はありませんが、月の満ち欠けによる影響が何かしら関係しているのかもしれません。

12/28 仕事納めです。仕事と言えば、「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一の人生を描いた大河ドラマが先日終了しました。優秀な実業家というのはそれだけエネルギッシュなものなのか、渋沢栄一には、ふたりの妻の他に愛人が数多くいて、その庶子を含めると20人以上も子どもが生まれているとも言われています。偉人には子沢山が多い気がしますが、優秀なDNAを残したいのでしょうか。もしくは、女性として偉人の子供を産みたいのでしょうか。

12/29 前回の月経から24日以内に次の月経が始まる『頻発月経』の場合、不妊のリスクになるため、適切な検査を受け、正常な卵子の形成と排卵を促す「卵胞期」が短い卵胞期短縮症なのか、子宮内膜を成熟させて受精卵が着床しやすい状態を作る「黄体期」が短い黄体機能不全なのか原因を探り、各々又は双方に有効な治療を受けることが大事です。

12/30 HCG療法(筋肉注射)は、クロミッドやFSHで成熟した卵胞を排卵させる目的で使用されます。排卵前のHCG注射は、注射後32~36時間後に排卵するので、1回の精子提供で確実にタイミングを合わせたい場合はおススメです。また、排卵後のHCG注射は黄体ホルモンの分泌を促し、着床しやすくする効果(高温層を持続し、着床を助ける効果)もあるとされています。

12/31 タイミング治療は、1周期につき、約4回の受診が必要だと言われています。(1回目)月経4~5日目:排卵誘発剤の処方→(2回目)月経10日目頃:卵胞の大きさチェック→(3回目)排卵期頃:排卵日の予測→(4回目)黄体期(排卵日から約1週間後):子宮内と卵巣の状態のチェック。詳しい内容は、こちら『タイミング治療について』をご覧ください。