『R4.1月の日記』

1/1 新たな年が始まりました。子供を望むために残された時間は多くない、夫は無精子症と診断されたものの妻の遺伝子だけでも受け継いだ子供が欲しい。そんなご夫婦や母になりたい女性に寄り添い、少しでも力になりたいと思っています。

1/2 日本産婦人科学会では営利目的での精子提供に関与することを医師に禁じている一方で、海外精子バンクが日本へ進出して来ています。日本にも精子バンクは存在していますが、限られた人にしか利用できず、また、昨今の子供の知る権利を拡充する動きなどから精子提供者が減少しており、実質的に非配偶者間での治療はできない状況です。正々堂々と子供を望む人の救いの手になるよう、政府と学会は早々に、金銭授受や子供の知る権利の保障など、心理的、倫理的、福祉面での課題に折り合いをつけ、しっかりとしたルールに基づき精子提供サイトが運営されるべきだと考えています。

1/3 不妊治療を続けても難しい場合の選択肢として「卵子提供」があります。その実情と課題はどのようなものがあるでしょうか。採卵を試みたものの1個の卵子すら採れないなど、年齢、これまでの治療経過、卵巣機能を総合的に判断し、治療を継続しても妊娠を見込める可能性が極めて低い場合に、選択肢の一つとなります。最近では日本にも卵子提供を仲介する業者(エージェント)が存在し、国内でも日本人女性ドナーから採取した卵子を用いた卵子提供を受けられる医療機関も出てきています。生殖医療民法特例法という法律で、親子関係については、第三者から卵子を受けて妊娠・出産した場合、出産した女性を母親、夫の同意を得て夫以外から精子の提供を受けて生まれた子供は夫を父親とすることとなっています。日本でも提供配偶子による生殖医療はますます増えていくと予測されますが、課題としては、子どもの「出自を知る権利」がしっかりと担保されるかどうかです。われわれ精子ドナーとしても「生まれてくる子供の福祉」を十分に考えて、支援して行く必要があります。詳しくは、こちらをご覧ください。

1/4 日本が不妊大国になった理由の一つとして、日本人には不妊に対して無知な人が多いことが指摘されています。今の日本の性教育が、「避妊」に重きを置いているためですが、「不妊」についても情報を発信しなければなりません。

1/5 男性には「逆行性射精」という射精障害など、性欲、勃起、射精、オルガスムのいずれかの要素で性機能障害を抱えている方も多いようです。

1/6 2021年9月14日(火)にNHKのクローズアップ現代で放送された『それでも子どもをもちたい広がるSNS精子提供』の内容が公開されています。そのに出演されてる作家・川上未映子さんの『放送後の未公開トーク』も見ることができます。ちなみに、川上未映子さんは、精子提供で子どもをもとうとする女性の葛藤を描いた「夏物語」の著者です。
 
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2021年9月10日 午前11:52 公開『SNS上で広がる「精子提供」なぜ利用?リスクは?
2021年9月14日 午後0:03 公開『SNS上で広がる「精子提供」法律でどう整備?課題は?

1/7 「夏物語」は精子提供による出産を題材にした物語です。読者のレビューでは様々な意見がありますが、既成の家族観や倫理観だけでなく、新たな形があることとについて考えさせられる秀逸な小説だと思います。

1/8 妊娠がわかると、お腹の中の赤ちゃんの成長や出産への不安も大きくなりますが、いわゆるマタニティーハイで乗り切ることができるそうです。ママが元気であれば、赤ちゃんも元気だと信じてあげていただければと思います。

1/9 【出産報告のお願い】「未来かなえ」にて精子提供を受けられ、ご出産された方には、生年月日、出生体重・身長、写真(1枚程度)、名前(ファーストネーム)のご報告をお願いしています(※あくまでも、任意です。)。遠い将来、私がご提供させていただいた方からの近親婚に対する問い合わせに備えるためです。生年月日とお名前を確認させていただくことで、近親婚のリスクを回避できることもあると考えています。赤ちゃんのお写真は私自身が拝見させていただきたいだけのものになります。ご提供いただいた情報は「未来かなえ」にて厳重に保管し、個人が特定できない状態にいたしますのでご安心ください。

1/10 体外受精で得られた受精卵の染色体の数を全て調べ、問題のないものを子宮に戻す「着床前検査」について、日本産科婦人科学会は、不妊治療の一環として4月に開始することを正式に決定しました。対象者は、①流産や死産を2回以上経験、②体外受精が2回以上失敗、③夫か妻に染色体の構造異常がある、のいずれかに該当する夫婦に限定されます。着床前検査では、流産や不妊につながる染色体異常がない受精卵を選んで戻すため「命の選別」になるとの批判もあり、障害者団体などは慎重な運用を求めているようですが、本当にそうなのでしょうか。

1/11 体外受精が保険適用になるのは良いことですが、某クリニックでは1回35万円だったのが50万円に値上がりしています。それでも、殺到することを見込んで強気の値段設定なのでしょうか。

1/12 体外受精等の保険適用対象となる医療費が値上げされると国の狙いが外れるばかりか、税金で病院の私腹を肥やすことになり、そして何より本当に治療が必要な人が治療を受けられなくなるだけです。これでは少子高齢化対策として国の思い描く政策は実現せず、本末転倒のような気もしています。

1/13 体外受精を保険適用となる4月まで待っている人も多く、コロナ禍で受け入れを制限する病院もあります。医師はすぐに増えない中で、予約すら取れなくなることを懸念しています。

1/14 卵子提供や精子提供の告知については、子供が2歳や3歳、4歳でも理解したり興味を持ったりするケースがあるようです。容姿については、卵子提供や精子提供で産まれた子供でも、子供が成人するまでの長い年月(24時間×365日×20年)を一緒に暮らしていると、どんな親子でも似てきてしますそうです。詳しくは、こちら『子供の感じ方は最大限に尊重したい』をご覧ください。

1/15 台湾の卵子提供で二度目の妊娠』という日本人ワーキング女性のパワフルな妊活体験記を見ましたが、子供を持つには色々な選択肢があり、どの方法が幸せかは人それぞれなのだと考えさせられました。 

1/16 男性から精子提供を受けた女性が、男性が国籍や学歴を偽っていたとして提訴しました。損害賠償請求額は「3億円」ということですが、夫に内緒で性交渉による提供を受けていた可能性があることや、出産した子供を施設に預けているということを考えると、どっちもどっちという気持ちになります。ちなみに、学歴詐称は詐欺で、精子提供に限らない問題です。例外的な問題をニュースにして、精子提供マッチングを批判しようとするのは、誠実に活動されているドナーに対して迷惑を掛けます。

1/17 「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営する熊本市の慈恵病院で、匿名で出産する「内密出産」があったことが明らかなりました。法律や親がどうのこうのではなく、幸せの形も一つではないため、赤ちゃんの視点でどう育てるかを議論すべきだと思います。詳述は、こちら『熊本市の慈恵病院で国内初の内密出産か』をご覧ください。

1/18 渋谷区にある「はらメディカルクリニック」において、海外の精子バンクや一般応募による精子ドナーの精子を使って、体外受精が受けられるようになります。対象は、夫が無精子症や、6回以上の人工授精でも出産できなかった夫婦などで、妻の年齢制限は採卵当時で42歳までとしています。ポイントは、子どもの出自を知る権利を保障するために、「非匿名」での精子提供としており、子どもが18歳以上になり、希望した場合は、精子提供者との面会や電話にも応じる仕組みとなっています。産科婦人科学会もクリニックも、約20年後にトラブルが続出することがないよう、責任を持った対応が必要です。詳述は、こちら『精子バンクと連携 第三者精子で体外受精へ』、『体外受精に使用する精子の一般公募を都内医院が開始 非匿名での提供も可能』、『精子提供者の一般公募開始 出自を知る権利のある提供精子で体外受精へNo.130』、『精子提供者の一般公募開始(募集内容)』をご覧ください。

1/19 モデルの菊池瑠々(26)さんが第4子妊娠を発表されました。20歳の頃に26歳上の男性と結婚されていることから、旦那さんは現在52歳のようです。このことから、男性側(精子)は年齢(妊娠)にあまり関係がないことが分かります。詳述は、こちら『26歳差婚で話題のモデル、菊池瑠々が第4子妊娠を発表「52歳の旦那元気でありがたい」』をご覧ください。

1/20 ヤマト運輸の宅急便タイムサービスを利用すれば、夕方(19時)までに預けた荷物を翌朝8時~10時までに配達できます。採精から配達まで12時間程度なので、精子の質は多少劣化するとしても妊娠には問題ない範囲だと考えられます。また、論文でも「20℃で保存したものは12時間経過しても運動率の低下があまり見られなかった」と述べられています。精子は空気に弱いと言われていますが、実はそんなに弱くありません。容器の中で精液が空気と触れないよう、小さな容器を使用すればベターです。とは言うものの、4℃と37℃では運動率が低下したようなので、寒い冬と暑い夏は保温に工夫が必要です。詳述は、こちら『精子の持参方法』をご覧ください。

1/21 『妻子のいる私が“精子の個人提供”を続ける理由』というニュースサイトを見ました。「精子提供」を巡って、いま日本国内の動きが活発になっています。2019年にデンマークの世界最大の精子バンク「クリオス・インターナショナル」が日本窓口を開設、2021年に日本初となる民間精子バンク「みらい生命研究所」が設立され、一種のトレンドと言える状況です。一方で、医療機関のドナー不足や高額の費用といった問題から、個人間の精子提供が急増しており、10年間の活動で60人ほどの子どもが誕生した精子ドナーもいらっしゃったり、生交渉や宅配での精子提供も行われています。子どもの出自を知る権利を保障するためにも、事前に契約書の取り交わしや本人確認、精子提供に関する双方の考えを擦り合わせておく必要があると考えています。

1/22 厚生労働省は、コロナワクチンが直接的に月経不順を起こすことはないと説明する一方で、ストレスや発熱などの間接的な影響で月経周期が乱れる可能性は考えられるとしています。仮に生理が1週間遅れたとしても、多くは1~2カ月で正常に戻るようですが、ワクチンが影響を与えている可能性は否定できなようです。詳述は、こちら『生理の乱れワクチンが原因?接種によるストレスの可能性』をご覧ください。

1/23 LGBT総合研究所が2019年に実施した調査』では、性的マイノリティは全人口の10%という結果が発表されています。結果2012年には5%だったのが倍増しており、社会としてきちんと向き合う必要があることが示された形です。

1/24 FTMの方は何人に一人の割合でいらっしゃるかご存知でしょうか?FTMとMTFの発症頻度は、それぞれ10万人当たり約8.20人と3.97人と言われており、MTF対FTMの比率は2:1となっています。つまり、 FTMの方は12500人に1人いらっしゃることになります。日本と欧米では発症頻度や割合も異なりますが、日本の人口が1億2000万人だとすると、単純計算で国内に1万人いらっしゃることになります。そう考えると、精子ドナーが必要とされていることも頷けます。詳述は、こちら『MTF、FTMの発症頻度はどのくらい?』をご覧ください。

1/25 20代後半の若さでも、2人目不妊に悩んでいる方がいますが、不妊治療専門のクリニックで検査しても原因が分からないことが多いようです。つまり、原因不明不妊の代表とされる「ピックアップ障害」や「卵管内の受毛?の機能不全」を疑ってみることが大事だと思います。気になる方は、こちらのニュースサイト『2人目不妊って何ですか?』、『初めて不妊治療を受けられる方へ』もご参考ください。

1/26 胎児ドックと言えば「クリムフ出生前診断クリニック」が、出生前診断の取り扱い数が日本一で有名です。クリムフは、常に世界で最先端の医療機器に更新し続けているため、他の病院で陽性判定が出た患者がさらに正確な診断を受けるために全国から集まってくるところです。そのため、患者が多く、朝9時から夕方17時半までかかることもあります。人気のクリニックで検査を受けようとすると、お昼ご飯も食べられないことがあり大変です。

1/27 代理出産母として5人の子を産んだ4児の母親「世界で最高の仕事」と10回目の出産を希望』というニュースサイトを見ました。代理出産の妊娠はいずれも体外受精によるもので、両親となる人の卵子と精子からできた胚を代理母の子宮で育てて出産されています。あるテレビ番組を見て、親子の間には無条件の愛が存在すると感じ、愛する子供たちがいる私はとても幸運なのだと思い、もし親になりたいと願う誰かを助けることができるなら、そうしたい。そして、その人も自分の子供に無条件の愛を感じてほしいと思ったそうです。精子ドナーとしても共感するところが大いにあります。

1/28 面談は基本的にカフェを利用させていただいていますが、最近はアクリル板が設置されていることが多く、声を張らないと聞きとりづらい状況です。とはいえ、プライベートは話でもあるので、隣の席の人に聞こえないよう、声のボリューム調整に苦労しています。

1/29 対面での面談の際には、マスクを外してお会いしていますが、オンライン面談の際には、基本的にはお互いにマスク着用でお願いしております。録画や盗撮データを餌に金銭要求や嫌がらせを受ける被害が出ているためです。モニターの死角から何を撮影されているか分からないのがオンラインの怖さです。冷やかし半分のドナーもいますので、どうか、皆様もお気をつけください。とはいえ、お話をする中で信頼できる方だと分かった場合は、途中からマスクを外したりしています。

1/30 今日の日中は少し暖かくなりましたが、近くの公園に十月桜が咲いているのを見かけ、春の気配を感じました。春の訪れとともに妊活をスタートされる方も多いかと思いますが、問合せが増えてきています。 

1/31 面談の場所は、ラグジュアリーホテルのロビーに併設されたカフェ(ラウンジ)が最適です。時間も、カフェの営業開始時間である10時だと人も少なくベストです。