『R4.10月の日記』

10/1 婚姻制度が定められたのは120年以上前の明治時代のことで、社会も価値観も変化していく中で、夫婦の形も多様化しています。自らシングルマザーを選択し、体外受精で女の子を出産された千尋さんのインタビュー記事『「娘の父親と、男女関係になったことは一度もない」不妊治療でシングルマザーが掴んだ幸せ』が印象的です。ちなみに、この記事が事実だとしたら、婚姻関係なしで(入籍していなくても)体外受精が可能な病院があることを認めていることになります。

10/2 直近3年間で精子ドナーが急増しましたが、卵子ドナーも増えているようです。ただし、NPO支援団体の卵子ドナー登録の条件は、「卵子提供のための採卵回数が、3回未満であること。」となっているなど、登録のハードルも高く、ニーズに対して卵子ドナーは不足していると聞きました。もちろん、国内では受け入れてくれる病院も不足しています。

10/3 2020年に「第三者からの卵子提供・精子提供によって生まれた子との親子関係を特例的に認める法律」が成立しました。これは、第三者からの精子提供・卵子提供による生殖補助医療が、日本で容認されたことになります。これまで、日本では認められていない治療(海外で提供配偶子による体外受精)を実施するときは、後ろめたい想いをしなければなりませんでしたが、今回の法律により、そうした不安が払しょくされ、遺伝的なつながりを重視してきた日本において、血縁社会から志縁社会へ、大きな転換期となるのではないでしょうか。

10/4 あるアンケートでは「自身が妊娠できると思う年齢は?」の回答平均値が、高齢出産の37歳となっています。20代から30代前半に産み終えて、あとは育児と仕事と家事を家族で分担する社会が望ましいと考えていますが、出産育児ではなく仕事のキャリアを優先する社会が浮き彫りになっているようです。

10/5 出産育児と仕事のキャリアの両立に向けての課題は、他者へのシワ寄せを負担させることになることです。仕事においては特に顕著で、個人の家庭の事情で、無関係な人間がその家庭のシワ寄せを一方的に負担させられる構図になります。ブランクがあるのに復帰後もキャリアに影響しないとすると、成果もなく待遇が保障されており、到底受け入れられないという人がいます。バランスを取るためには、その間も働き続けていた人への同等の優遇と、子育て家庭への国の支援が必要なのかもしれません。

10/6 今年上半期の出生数が40万人を下回った(38万4942人)ことを厚生労働省が発表しました。上半期で40万人を下回るのは2000年以降初めてで、新型コロナの影響で感染の不安などから妊娠を控えるケースもあったとみられています。これについて、キャスターの辛坊治郎さんは、コロナで亡くなった人の数よりも、コロナの騒動のせいで生まれてこなかった命のほうがはるかに多いのではないかと持論を展開されています。また。高齢者ばかりが増えていて、高齢者を支える現役世代がどんどん先細りしていることから、人口問題こそ日本最大の問題と指摘しています。こういう記事を見ると毎回思うのですが、高齢者が子育てをサポートする社会になればよいのではないでしょうか。

10/7 代理出産の合法化には反対の声が多いようです。そこまでして赤ちゃんが欲しい人がいて、双方合意のうえ対価も支払われるのなら、他人がとやかく言う話ではなく、そっとしてあげられないのかなと思います。友人が代理出産を選択しようとしている場合など、個々のケースでアドバイスしてあげていただければと思います。

10/8 30歳を過ぎて来ると女性は「産み時」に悩むそうです。不妊治療はすごくコストもかかり、35歳を過ぎると妊娠率が大きく下がることから、35歳を超えたときに、一歩を踏み出す決心がつく方もいらっしゃいます。妊活に向けては、婦人科に通うことが当たり前の社会になりましたが、病院の医師や周囲の友人に相談しながら、AMH値を測ったりして、自分の体を知ることから始めてみるのが良さそうです。

10/9 48歳の米女優ヒラリー・スワンクさんが双子を妊娠されました。アメリカは体外受精の成功率世界一と言われていますが、そのような医療技術の進歩による恩恵なのかもしれません。

10/10 50歳で出産され、シングルマザーになられた女性の知人から、子どもを産み育てることは女性にとってのこの上ない幸せだということを、お聞きしました。若い頃には、気づかないことだったそうで、今の気持ちを若い世代の人に伝えたいそうです。家族で体験する喜びが人にとって一番の幸せであり、そのような幸せを分かち合うことが生きる意味なのかもしれません。

10/11 リアルな話ですが、1回目の採精後、短時間で採精した2回目の精子で顕微授精をしたところ、顕微授精に成功した方が事例があるそうです。量は少なくても質のいい精子が採れたことが理由かもしれません。

10/12 20代でも早発閉経により排卵がなくなることもあります。発症頻度は 30 歳までで 0.1%、40 歳までで 1% 程度と決して高くはありませんが、後で後悔しないためにも、月経不順や無月経がある場合、早めに婦人科の受診をしていただければと思います。

10/13 「ペリネイタル・ロス」や「グリーフケア」など、、ドナーとして、まだまだ勉強すべきことがあります。自然流産は全ての妊娠のうち10-15%程度の頻度で発生するとされていますが、その確率未満での支援実績があり、幸運に感じています。

10/14 女優の菊川怜(44)さんが、第3子を出産していたことを明かされました。17年4月に結婚後、19年4月に第1子、20年12月に第2子と、40歳を過ぎてから立て続けに3人出産されており、ものすごいパワーと拘りを感じます。

10/15 ヤフコメに「スコスコ産むのは、本当にお金持ちか、お金のない家の、両極端。その、一番多い層が、産みたくても産めないまともな層です。」という子育てに関する政策を担当している省庁向けのコメントを見かけました。「産む」を「結婚」に置き換えても通じますが、計画を持って進めようするほど躊躇してしまうのでしょう。

10/16 骨髄ドナーのように周囲に公表できるようにならない限りは、精子ドナーや卵子ドナーは、アンダーグラウンドな活動としてタブー視されつづけることを危惧しています。ただ、日の目を見ることはなくても、ささやかな活動の方が社会的に健全だと考えています。

10/17 不妊治療の排卵誘発剤は妊娠の確率が上がりますが、多胎妊娠のリスクより、副作用を懸念して使用を躊躇する方が多いように感じています。排卵誘発剤にはさまざまな手法があるため、悩んでいる方はこちらのコラム『不妊治療の排卵誘発剤とは? 効果や種類など疑問を婦人科医が回答 使う・使わないの選択の参考に!』をご覧いただければと思います。 

10/18 妊治療をした夫婦が「子どもを持ちたい」と決めてから実際に妊娠するまでの平均期間が約6.4年かかることが、製薬会社の調査で明らかになりました。自然妊娠できなかったカップルが病院を受診するまでが、約3.2年。ここで不妊症と診断を受けて、治療開始するまでにも、もう約1.3年。その後、実際に不妊治療で妊娠した人の平均では約1.9年と、トータルで約6.4年かかるということです。受診することへのためらいと金銭的なことへのためらいが、これほどの期間がかかっている理由のようです。関心がある方は、こちらの記事『不妊治療…「妊娠まで平均6年超」 背景に“2つのためらい”』をご覧ください。

10/19 ご妊娠のご報告をいただきました。このところ毎月約1名の方から喜びの声が届いています。

10/20 最近は、電話番号などの個人情報を教示される方がいらっしゃいます。それでけ精子提供活動がオープンになってきたということかもしれませんが、信用していただいていることを嬉しく思います。

10/21 1人のお母さんが産む子どもの数は1980年代とたいして変わっておらず、人口減少の本質は少子化ではなく未婚率が増加による「少母化」のようです。子どもを希望していても結婚できない若者の雇用環境を見直す必要があると思います。

10/22 3Dプリンターの技術により、500万円で一軒家が建つ時代が到来するようです。国内の企業が、2023年春までに、約500万円で1LDK一戸建て住宅の販売を目指しています。そうなれば、長期の住宅ローンに苦しむこともなくなり、少子化対策に寄与することも期待できそうです。

10/23 転落防止用にて良かれと思って付けた小さな段差は、子供にとっては思わぬ段差となり、つまづいて転落し大怪我を負わせてしまうことがあります。バリアフリー設計には細心の注意が必要です。

10/24 4月からの保険適用の影響で体外受精にトライする人が増えおり、薬剤の供給不足で1~2周期は胚移植ができなくなっている病院もあるとのことです。予想していたとおり保険適用による弊害が起きてます。それだけニーズがあるということなので、政府には高度不妊治療の安定化に向けて早急な対策が求められます。

10/25 不妊治療に当たっては、ステップアップや費用について一定のルールを決めておいた方が良さそうです。

10/26 自分ですべてなんとかしようと思うと、追い詰められてしまいます。特に産後は、慣れない育児やホルモンバランスの変化で心に余裕がなく、情緒不安定になりやすいので、親としての自覚は持ちながらも、人に頼るという気の持ち方が大事だと考えています。

10/27 未婚、事実婚でも治療が受けられる生殖医療の専門クリニックがあります。法律婚をしていなければ不妊治療を受けられないというルールは、社会の変化に応じて見直すべきです。

10/28 秋色に色づきはじめる頃、北アルプスの山々はもう雪化粧です。日本の四季は、水平方向、垂直方向の両方の変化が見られ、とても楽しめます。

10/29 地元の商店街ではハロウィンで盛り上がっています。屋台ゲームで遊ぶ子供たちの笑顔を見ると、強面で言葉使いの荒い店主も福の神に見えてしまいます。

10/30 読書の秋、ふと思い立って、村上春樹の1Q84(いちきゅうはちよん)という小説を買いました。1~3巻がそれぞれ前編と後編とに分かれる全6冊の長編小説ということもあり、なかなかページが進みませんが、現代の投資社会にも役立つヒントが込められているようなので、なんとか読了を目指したいと思います。

10/31 最近は「こちらアニマル社商品企画部育児課」、「こちらアニマル社商品企画部保育室」という本がなかなか面白かったです。ヒトのオスが動物に子育てを学ぶという、学びものの漫画ですが、これから父親になる人は是非読んでほしいと思います。