『新型コロナ「不妊治療の延期を」日本生殖医学会が声明』

 日本生殖医学会は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、人工授精、体外受精・胚移植などの治療に関しては、延期が可能なものについては延期を考慮するよう求めました。妊娠が成立したあとの感染対応に苦慮することなどがその理由で、時期としては「急速な拡大の危険性がなくなるまで」もしくは「妊娠時に使用できる予防薬や治療薬が開発されるまで」としています。この声明について、正論であるとは認識するものの、個人的には疑問もあります。
 不妊治療自体はいわゆる3密に該当しないこと、不妊治療が再開できる見通しがつかない中で、妊娠期を逸してしまうリスクがあること、交通事故など新型コロナウイルス以上に胎児に及ぼす影響が高いリスクが世の中にはたくさんある中で、新型コロナウイルスだけを捉えて判断していることがその理由です。
 そうであれば、治療を自粛した後に妊娠に至らないかった場合に相応の補償をすべきですし、妊婦のリスクが限りなくゼロにならない限り女性は妊娠してはならないことになります。それは、極端な話、人権侵害と言えるものではないでしょうか。
 偏った観点からの安易な声明は、ただでさえ不妊になやむ女性をもっと悩ませてしまいます。それよりも、新型コロナウイルス以上に対しては、妊婦さんの周囲の人に配慮を求める声明を出すことが先決だと思います。

【引用】
「新型コロナ「不妊治療の延期を」日本生殖医学会が声明」BuzzFeed Japan,2020年4月1日(水) 13:59配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200121-00032235-president-life

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